お金で片づけようとしないこと

「衣食足りすぎると 礼節を忘れる」

2012年6月9

MP900182581.JPG私の好きなテレビ番組でNHKの「スーパープレゼンテーション」という番組があります。 アメリカのTEDというコンファレンスで 全世界からユニークな表現や、分かりやすい説明、スピーチ内容の優秀な「プレゼンテーション」を紹介する番組です。

 この中で、非常に今の世の中を象徴している内容があったのでご紹介します。
ある中東の幼稚園の事ですが、この地域の幼稚園は幼稚園の終了に伴い、親が車で子供を迎えにくるというシステムなのですが、どこの国でも同じでピックアップの時間になっても遅刻する親が後を絶たないらしいです。
 そこで、考えられたのが罰金のシステムです。
 決められたピックアップの時間に10分間遅刻すると「罰金」を課すというものでした。
当然、幼稚園側は この「罰金制度」で遅刻者が減って、健全な運営ができると期待したものでした。 
 ところが、実際に この「罰金制度」が始まってからは、「遅刻者」の数がどんどん増えて行き、結果3倍に増えたそうです、しかも、その傾向は止まらないのです。

何故、「罰金」を課す事を始めたのに 遅刻者は減らず増えて行くのか?

 そこには、「何でもお金で済ませればいいや」という心の問題がありました。
「罰金」を課す前までは、親は「遅刻すると幼稚園の人たちに迷惑をかける、申し訳ないなあ」という精神的な負担や心の葛藤があって 遅刻者が数名で済んだのですが、一旦「罰金制度」にしたことによって、精神的な負担はなくなり「罰金を払うだけでいいので気楽」になってしまったことで、遅刻者が3倍に増えたそうです。
 同じ地域で、同じような状況であった他の幼稚園は「罰金」をしないままにして 2つの幼稚園の遅刻者推移を時系列のグラフにして とても分かりやすい資料でした。
 「罰金」を課した幼稚園は、この3倍に増えた遅刻者に驚き、「罰金」を止めたそうですが、一旦増えた遅刻者は減る傾向にならないという事でした。
「衣食足りて 礼節を知る」という言葉がありますが、「衣食が足りすぎると、礼節を忘れる」という新しい言葉が必要かも知れません。
 「精神的な負担」は「金銭的な負担」より大きいという事が良く分かります。

 日本も、国民全体が経済的に豊かで無かった時代は、「道徳」もあり、「人を思いやる気持ち」も非常に強かったように思います。
「高度成長」を遂げ、世界一の発展をしてゆく間に、金銭的にも物資的にも豊かになりましたが、一方格差が広がり そこに「勝ち負け」のような言葉が生まれ、「勝つ人が偉い人」のような間違った考え方が定着してしまったように思えます。

 お金は貴重な物ですし、否定しているつもりはありませんが、なんでも「お金で済ませよう」という発想と行動は戒めないといけません。
「アイデアを出しましょう」 http://www.prostage.biz/idea.html
の所でも 「お金がないと 知恵が出てきます」と言う事を書きましたが、お金を先に考えてはいけないという事ですね。 
 商店街などで、自転車の無断駐輪で困っている所も多いと思いますが、もしかして「罰金」表示よりも、「おばあちゃんが つまづきそうになって困っています」の方が、今の人にも響くのかも知れません。(場所によるでしょうが)