「コミュニティの大切さ」を改めて考えてみよう

イギリス人に見る人生観とコミュニティ意識、 日本人も考え直さなければいけない

2012年9月1

MP900382679.jpg 東日本大震災が起こり、改めて日本の地域コミュニティを見直そうという記事が新聞や雑誌で話題になっています。 地域の繋がりや絆は、これからの老齢化社会にとっても大変重要だし、大きな災害時には特にその大切さが見直されます。
しかし、そんなに簡単に地域のコミュニティを創り上げる事は出来ない事も事実で、誰もがそう理解していると思います。
そんな時に、これからの日本のコミュニティ作りに一つのお手本になる事例がありました。
 NHKが2003年に制作し当時放映した「イギリス素晴らしき村、豊かな人生と出会い旅」という番組を再放送しました。その中に「イギリス人の質の高い意識と人生の過ごし方、地域とのかかわり」は参考になる点が非常に多く、日本でも少しづつスタートしていかなければならないのではないかと思います。
その番組に登場したのはロンドンから車で4時間のアリングズウィックという片田舎で、70戸しか住人がいない町で、町にあるお店はパブが一軒だけで、隣町に行くバスも一日に1本しかない所です。 日本では考えられない程の 買物には不便な所です。

 ここに、都会(ロンドンなどの)に住んでいて退職された夫婦(当時65歳)が、田舎暮らしに憧れてこの町に家を購入して、地域に溶け込んで行きます。
65歳になって 全く知らない田舎に引っ越して行くのも大変なことだと思いますが、その人は家を購入する前に、地元の人に「コミュニティ(自分の町を感じさせるもの)はありますか? と尋ね「ある」と言われ それならという事で決心したそうです。
都会暮らしで、転勤ばかりして地域に溶け込めなかったという反省の思いを持ち、人生をもっと楽しむ事を考え、この町(地域)に腰を据えようと第二の人生をスタートしました。

移り住んだ町は、70戸しかないので 最初は人と3日間合わない事もあったそうです。 そんな新しい生活に自分から溶け込んでゆくのですが、町の教会のお世話を自ら進んで実行していったそうです。
この教会の修理費や運営費をバザーやくじ(町の人が賞品を持ちより、その賞品を当てるために町の人がくじを購入し、それが活動資金になります)、集会での参加費や寄付などで資金を村人達で作り、立派な教会に修復してゆかれました。 
修復費用の120万円を集め材料などを購入し、町の大工の人が無償で働き、町の人が皆で修復を手伝い 修復が完成してゆきます。
多くの場合、教会がコミュニティの中心の施設になっていますので 教会は宗教上の理由だけでなく 大切な所なのです。
日本であれば、さしずめ公民館に近いイメージで、修復費などはかなり税金から支援される部分も多いと思いますが、少ない住民での資金集めは大変だったと思います。イギリスは決して裕福な国ではありませんが、コミュニティ意識の高さには驚かされます。

 また、町には「珈琲モーニング」という催しがあって週に一度、村のお年寄りを一堂に集める機会を作り、村の住民がお年寄りの会話の場所を作ったり、食事を提供したりしています。村人が、お年寄りの家に迎えに行き、終わればまた送迎してゆきます。
老人の方にとっては、素晴らしい楽しみになっていることは、テレビを通じてもよく分かります。

その習慣が、どんどん受け継がれてゆくので絶えず村には「やさしさ」が継続されて行きます。 人が世代を超えて繋がって行く理想的な良い習慣ではないでしょうか。

日本では、昭和の終わりくらいから核家族化が加速度的に進み、住宅事情も大きな変化がありました。 そのこともあり、3世代や4世代にまたがって一緒に住んだりすることもなくなり、村からは若い人がどんどん都会に出て行きコミュニティ的な部分が壊されてきました。
「隣組」「結」など、日本でも以前は、近隣で助け合う組織的な活動がありました、今ではそれもすっかり薄れました。 個人情報保護法などが施行され、余計に繋がりが薄れるのを加速しているように思えます。

日本は明治政府の時に、多くの事をイギリスから学んできました。政治、行政、制度、教育、軍事、建築、文化の多くはイギリスの影響を非常に色濃く受けています。
日本の交通が左側通行もイギリスからで、世界的に見れば非常に稀な左側通行で、そんな交通ルールもイギリスからの影響です。
日本もイギリスも島国で、真面目で几帳面で親切な所は大変似ていると思いますし、お互い理解しあえるよいパートナーだったのではないかと思います。
しかし、戦後日本はアメリカの影響を一番色濃く受けるようになりました、質素倹約を旨としていた日本人が、「消費社会文化」の推進国であるアメリカの影響だけを受け継ぎ、高度成長も遂げながら大量消費になってきて「ゴミの問題」を生み出し、物を大切にしなくなってきました。また、競争社会の文化も強くなり、人と人との繋がりが崩壊し始め、地域も大切にしなくなっていると感じます。
今こそ「コミュニティ」を見直して行くべき時ではないでしょうか。

これからの社会は、「成長」ではなくて「どう成熟してゆくか」を中心に考えないといけない時期に来ているのではないでしょうか。